最初の訪問地は

第二次世界大戦中、英国に派遣されていた既婚のカナダ兵士とイギリス人未亡人との間に子供が出来ました。終戦後、カナダ兵士はカナダに帰国してしまい、子供は母親の再婚相手を本当の父親だと思ったまま成人しました。
ある時、政府の機関に就職の為の書類を提出すると、それに不備があると指摘されました。実際の出生証明に記載されている父親の名前が、書類に書かれた名前と違っていたからです。それは子供にとって晴天の霹靂でした。
それからしばらくして、カナダにいるはずの血縁をネットで探しあてました。

このまるで小説のような話の中の、いけない既婚のカナダ人がウチのダンナの祖父です。祖父母は既に他界していて、その子供たちはイギリスに弟がいることなど全く知らされていませんでした。連絡があった時には全員でビックリ仰天状態でした。

ですが、それから兄弟姉妹、叔父と姪や甥との交流がはじまって、カナダに遊びに来たり、イギリスに遊びに行ったりするようになりました。交流が始まったのは私達が韓国に住んでいた時で、会う機会がありませんでした。新しくできた叔父はとても心優しい素敵な男性との評判で、会ってみたいと思っていました。今回やっと実現。

ガトウィック空港で車を借りて、サマーセットという地域にある叔父の家までひた走りました。左側通行のMT車でも平気で運転できる、使えるダンナに感謝です。

叔父の家の裏庭。素敵なイングリッシュガーデンでした。

叔父は評判通りの人でした。祖父に対しても、無責任に子供を作って、そのまま帰国した兵士がたくさんいた中で、きちんと出生証明にサインをしてくれたことに感謝していると言ってくれました。

実はこの時、叔父は肺がん末期で、自宅のベッドから出られない状態でした。それでもユーモアあふれる会話を楽しみ、弱音など一言もありませんでした。そんな状態でも会いたいと言ってもらって感謝です。2泊させてもらいました。奥さんもとても優しい人でした。

私達の旅の最終日、永眠されたと連絡がありました。
会えてよかった。

4 comments

  1. 愛ちゃんママ says:

    小説の中のお話みたいに感じましたが、
    本当にあったお話でそれがご主人のお祖父さまの
    お話だったとはびっくりです!
    でもお会いになってよい方で良かったですね!
    叔父さまも立派な方だったのでしょうね!
    生きているうちにお会い出来て良かったと思います。
    戦争中はこんなお話しが世界中にあったのかも知れませんね!

    • シオン says:

      戦時中にはたくさんあったと思われるような話ですよね。
      でも、それが身近に起こるとはびっくりでした。
      叔父はフランスが大好きだったそうで、パリに住んでいる時に知り合えていれば、うんと頻繁に行き来が出来たのにと、残念です。
      生前に会えただけでも良しとしなければ、と思っています。

  2. says:

    本当に身近にこんな話があるなんて、
    そして最後にお会い出来て良かったですね。
    涙が出そうになりました

    • シオン says:

      叔父の話をブログに載せて良いものかと迷ったのですが、思い出として残しておきたかったので、載せてしまいました。
      複雑な生まれ育ちにもかかわらず、とても良い人でした。

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